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社会科散策(政治)論述№09-身体の自由 [政治]

4-4 基本的人権の保障④-自由権(身体の自由)

〔身体の自由〕            
①奴隷的拘束・意に反する苦役からの自由(18条)
 個人の尊厳を害する❶奴隷的拘束は絶対的に禁止され,刑罰としても許されない。❷意に反する苦役は犯罪による場合を除いて禁止される。

❶戦前の監獄部屋やたこ部屋などがそれにあたる。
❷強制的な労役のことである。
〔研究〕徴兵制(兵役義務)は意に反する苦役にあたるか。
〔解答〕兵役を強制する兵役義務は強制労働を課すものでであり,「意に反する苦役」にあたる。
(解説)解答としては以上の記述で足りるが,徴兵制の問題はそれほど簡単なものではない。この問題は,軍隊の存在を前提にしているから,まず,憲法9条の改正が必要となる。次に憲法18条との関係では,「犯罪による場合」以外に例外として認められないのかが問題となる。
 現在,法律上強制される場合として,裁判員法の裁判員候補者に対する出頭・審理参加義務,消防法・水防法・災害救助法の労働提供義務などがあるが,兵役義務もこれらと同様に考えられないか。 ⇒ 徴兵制は個人の生命・身体を危険にさらす制度であり,他の人命救助義務等と同等に考えることは妥当とはいえないであろう。また,憲法19条(良心の自由)にかかわる問題でもあるから,あいまいな「公共の福祉」だけの理由で許容することは妥当でない。

②適正手続の保障と罪刑法定主義(31条)
 本条は刑事手続(行政手続も含む)だけでなく,実体(犯罪と刑罰)をも法律で定めることを要請している。       
③刑事手続上の保障(33~39条)
〔研究〕死刑制度の是非
(解説)
 論点①死刑は残虐刑か(36条),②国家による殺人か(矛盾しないか),③誤判の危険(取りかえしがつかない),④「目には目を」(応報)の妥当性,⑤凶悪犯罪に対する抑止効果はあるか,⑥世論の動向,⑦国際比較(先進国の多くが廃止している)等に対する判断が要求されるが,この中での最重要論点は③の誤判の危険性である。これをどうクリアー(説得)するかが存廃論の鍵となるだろう。
〔研究〕拷問によって得た自白が証拠とされないのはなぜか(自白法則)。
〔解答〕
 虚偽自白の恐れがあるから,人権侵害だから,違法捜査の抑制に最も良い方法だからといった理由があげられる。
〔研究〕自白だけで有罪とされないのはなぜか(補強法則)。
〔解答①〕自白偏重にともなう捜査機関の自白強要を防止するため。
〔解答②〕自白は信用されやすく,有罪認定を自白だけに頼るのは危険だから(誤判防止)。
(解説)
 解答①②は自白法則との関係が問題となる。また,解答②は自白の信用力(証明力)を問題としているが,自白に証明力が足りないとは一概にはいえないとの疑問がある。そこで,補強法則を政策規定と解する見解もある。なお,「公判廷の自白」については,補強証拠がなくても有罪とできるとするのが最高裁の立場である(自白強要の恐れがなく,また,信用性が担保できるゆえ)。
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