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社会科散策(政治)論述№06-新しい人権 [政治]

4-1 基本的人権の保障①-新しい人権

1 一般的基本権(包括的人権)
⑴個人の尊重と幸福追求権(13条)
 すべて国民は,個人として尊重される。生命,自由及び幸福追求に対する国民の権利については,公共の福祉に反しない限り,立法その他の国政の上で,最大の尊重を必要とする。

 プライバシー権,❷自己決定権は,「幸福追求権」(憲法13条)を根拠に,❸環境権は,13と25条(生存権)を根拠に,❹知る権利は21条(表現の自由)あるいは国民主権の原理(前文・第1条)を根拠に主張されている。

プライバシー権
 プライバシー権は,従来,新聞・雑誌などの大衆紙により有名人の私生活が暴露されたことなどから,「私生活がみだりに公開されない権利」(宴のあと事件)として主張された。しかし,情報社会の進展にともない,最近では「自己の情報をコントロールする権利」をも含めて捉えられるようになっている。その理由は,情報技術が発達し,個人情報が行政機関やマスメディアなどの企業に集中的に管理されている現代社会において,自己の情報が勝手に操作され,また流布される危険が生じてきたからである。
※個人情報保護法の制定(2003年)
※マイナンバー法(2013年制定,2016年開始)
⇒正式名称は「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」

〔研究〕マイナンバー制度について,その①制度趣旨及び②適用分野について説明せよ。
〔解答〕①制度趣旨=行政の効率化,手続の簡素化(国民の利便性向上),国民年金の未納や生活保護不正受給防止などがその狙いとされている。②適用分野=現段階では,社会保障,税(国税),災害対策の3分野に適用が限定される。
(解説)
 マイナンバー制度は,将来その適用範囲が拡大していくと管理社会が極端にまで進展する恐れがある。例えば,病歴・犯罪歴,納税の延滞・脱税の有無,海外渡航記録,資産(不動産)など,あらゆる個人情報が政府の管理下に置かれることになる。ここまでくるとプライバシー権の侵害と言わざるを得ないが,テロなどの凶悪犯罪が増えてくると,情報管理を望む世論が形成されかねない危険がある。

自己決定権
 自己決定権とは,個人が自分の生き方や生活のしかたについて自由に決定できるとする権利である。同性婚,妊娠中絶・避妊の自由,尊厳死・安楽死などが自己決定権の内容として主張されている。その理由としては,都市化の進展,女性の社会進出の増大,医療技術の進歩などにより,個人の生き方の選択の幅が大きくなったことがあげられる。
※インフォームド・コンセント
*医師が患者に十分説明し理解させた上で,患者の自由意思によって治療の合意・拒否を決めることを意味する。これを欠いた治療は患者の自己決定権の侵害となり損害賠償事由となる。
※同性の婚姻届の是非
*渋谷区議会は2015年3月,同性カップルを婚姻に相当する関係と認める条例を制定した。
環境権
 環境権とは,健康で快適な生活のために良い環境(自然環境)を享受・支配する権利である。この環境権が提唱された理由は,高度経済成長期に公害が深刻化するとともに,環境破壊がすすんだからである。⇒環境アセスメント法,環境基本法(旧公害対策基本法)の制定。
知る権利
 知る権利とは,情報の受け手(国民)が,情報の送り手(政府・マスメディア)に対して,情報の提供を求める権利である。情報社会が進展するにともない,情報が国家やマスメディアに独占され,情報の相互交換による意思決定という表現の自由の本来の機能が損なわれてしまったことから,実質的に表現の自由を実現するべく唱えられたのが,新しい人権としての「知る権利」である。したがって,その根拠規定は憲法21条(表現の自由)に求められる(国民主権に根拠づける立場もある)。ただ,その内容は不明確でその具体化には法律の制定(情報公開法)が必要となる。
※アクセス権
 政府に対して情報を求める権利を情報公開請求権と言うのに対して,マス・メディアに対して自己の意見を掲載・放送するよう要求する権利をアクセス権という。いずれもその具体化には法律の制定が必要だが,アクセス権を具体化した反論権については否定的な見解が多い(最高裁も認めていない)。
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